Duets(2002年)

レナード衛藤(太鼓)、ザキールフセイン(タブラ)、アジャアディ(パーカッション)、スティーヴンケント(ディジュリドゥ)、スティーヴエトウ(重金属打楽器)

正直、鼓童時代から海外アーティストとの共演がなかったら、ここまで太鼓を続けてこられたか分からない。そのくらい海外アーティストとのコラボは、太鼓を叩く自分の個性を形作ったと言える。特にアジャやザキールについて書き出したら本が書けそうなくらい。

鼓童在籍時からソロ活動していた私は、ヨーロッパのメガドラムスというプロジェクトで彼らと出会う。特にアジャにとって、初めての日本人(アメリカ国籍だけど)がこの私。以来、彼を日本に呼ぶわ、私もアフリカへ行くわ、ヨーロッパ・ツアーも続くわ・・・。

師匠がいないで育った私にとって、アジャとザキールから「太鼓とは」を教わったようなもの。なので、ファースト・アルバム"Leo"をリリース後、今度は海外アーティストとの貴重な音の体験を記録にせねばと思い、彼らを日本に招聘してライブを行なったりしながら音と映像を録り続けていた。

が、しかし、アルバム制作中の2001年9月11日。ニューヨークでテロが起きた。

ニューヨークに生まれた私。テロという惨劇。そして、その後のアメリカの愚行を通して、「自分はミュージシャンとして何ができるのか。何をすべきか」を自問自答した。そして、そのひとつの答えがこのアルバムのテーマとなった。

どんなに考え方が違っていても、人と人とのコミュニケーションを絶やしてはならない。そして、それは国のトップであれ、民族の代表であれ、家族であれ、最愛なる人とでさえ、その基本は1対1の対話から始まるのではないだろうか。1対1のコミュニケーションすらまともに取れなければ、と言うか、まずは1対1の対話から始めよう。

ソリストとして未熟ながらも、人類が誇る最高のアーティストと今の自分が持ちうる表現力でどこまで音楽的な対話ができるか。このことが、世界を恐怖に陥れた出来事に対する自分の立ち位置だった。そして、今もその気持ちは変わらない。

ネタばれ:
リリースされた全アルバムのライブ音源は、すべて編集なしで収録されている。編集のしようがないのだ。2ch(マイク2本)で録っているし。で、このアルバムに収録されたある楽曲のマスターは、何とMD音源。それも普通のMDウォークマン。究極というか、腕が良いというか(爆)

2010年1月

レナード衛藤