OCEAN(2006年)
レナード衛藤(太鼓、チャッパ)、三橋貴風(尺八)、鬼怒無月(ギター)、茂戸藤浩司(太鼓)、レオプロ(太鼓アンサンブル)
このアルバムの最大の特徴は、日本のコンサートホールの中でも最高ランクの王子ホールで一発録り。オーバーダブ(重ね録り)は一切なし。だから、テーマも実にシンプル。
「気持ち良い音を録りたい」
2004年から続いていたツアーの影響もあって、大太鼓の音が熟れ頃で良いんだけれども、そろそろ張り替えないとならない状態になっていたので、ここらで一発!となった。でも、一発録りの難しさは、自分の演奏はイケた!と思っても、誰かがこけたらチャンチャン。「良いソロだったのに〜!」と嘆いても後の祭り。逆も然り。全体の流れは良かったけど、自分のソロが「あちゃ〜!」もチャンチャン。集中力を考えても勝負は3テイクまで!
元々、小難しい曲作りをする性質ではないけれど、できるだけ音が伸びやかに響くように曲作りはシンプルに徹した。そして、レオプロをはじめ、叩き手にはベタっとしたタッチにならないように軽めのバチを勧めたように思う。さらに、大太鼓ソロもあまり情熱的に叩かないで、曲名"Transit"が示すように曲間を繋ぐような感じにまとめた。多分、こんな大太鼓の扱いは、他の太鼓のアルバムにはないと思う。
そうそう、太鼓もホールの空気に慣らすために前日の夜から搬入させてもらったような気がする。そうすることによって、太鼓の中の空気もホールと同じ状態になって、驚くほど良い音になるのだ。これは本当!お試しあれ(笑)
おかげでこのアルバムはひとつの良い音の基準値になっていて、今でもレコーディングや太鼓チューニングの参考にしている。もちろん、このアルバムに収められた音がすべてということではないのだけれど、混ざりっけのないアコースティックの音を収められたことで、この後に続くアルバム制作に、いや、ライブにもエライ大きな影響を与えることになる。
そして、このアルバムをリリースした数カ月後、自分にとっては禁断の果実とも言える世界に手を伸ばすことになるのだ(爆)
ネタばれ:
気持ちが良いのはアルバムの音だけではない。ジャケットに使われている写真は南の島で撮ったもの。中ジャケ見開きのワイドショットは、朝5時前にはホテルを出て、写真家の井出情児さんと風紋が残っている海岸に行って、「ギャオー!」「オッケーです!」「ギャウ〜!」「グッドです!」てな具合。癒される1枚となった。
2010年3月
レナード衛藤